聖クロニカ学園学園祭本番、前座のような体育祭はつつがなく終わり、いよいよ文化祭当日となった。自主製作映画を上映する予定の隣人部だったが、映画の仕上げを担当していた理科が倒れてしまい、映画は未完成となり上映は中止に。残念な結果となった学園祭ののち、これまでの馬鹿馬鹿しいけど賑やかで楽しい活動の日々へと戻っていく隣人部。互いに絆を深めていく隣人部の面々と過ごしながら、小鷹は隣人部への思いをいっそう強くする。そんなおり、星奈を敵視する生徒会の遊佐葵が隣人部に対して不穏な動きを見せ、小鷹、夜空、星奈、理科、幸村の関係にも大きな転機が訪れる――。残念系コメディ、ついに終幕……!?

「志熊理科が『やおい穴』が実在すると信じてた話」とそれを伏線としたネタ、「三日月夜空が国語の授業で習う中島敦『山月記』に共感する話」、「隣人部メンバーが『DX友達つくりゲーム』なるアナログゲームに興じる話」、「隣人部を潰しに来た生徒会役員を三日月夜空と柏崎星奈が撃退する話」は面白かった。
他の部分は微妙。

昔『生徒会の一存』シリーズがTCG『プロジェクトレヴォリューション』に参戦した時、本編の中で、生徒会メンバーがTCGに興じる話を書いたことがある。せっかくブシロードがスポンサーになって『僕は友達が少ない』をアニメ化してTCG『ヴィクトリースパーク』に参戦させるのだから、ブシロードは平坂読さんに働きかけて、原作で同じ事をしてもらって宣伝してもらえば良いのに、みたいな事を俺がVスパ関係の話題を書いてるブログに載せた事がある。
それをブシロードが中途半端に具現化して、アナログゲームに興じる話が書かれたのかも知れない。(ブシロードは、ユーザが登録して公式からリンクの貼られているブログとか、TCGプレーヤー専用のSNSとかをチェックしている)
で、この話を読んで気がついたのだけど、作者の平坂読さんはアナログゲームに対してそこそこ造詣が深いのではないかね?
「双六の派生系」とか「六面ダイス」とか言う表現は、電源不要ゲームに通じてる人じゃないと普通は出てこない。
「~~の派生系」ってのは、『カタンの開拓者』以降に日本でも認知度が広まっているドイツ製ボードゲームの業界で良く使われる表現である。何かヒットしたボードゲームが出たら、それに似たルールのボードゲームが雨後の竹の子の様に発売されるんだけど、○○○に似たルールのボードゲームのことを「○○○の派生系」と呼ぶ。
また、サイコロをダイスと当たり前のように言い換えているが、TRPGやボードゲームをプレイしてる人じゃないと通じない言い換えだろう。
つか、そもそも六面体以外のサイコロが存在する事なんて、アナログゲームに詳しい人間じゃないと知らない。
作者の平坂読さんはツイッターにある各キャラクターのアカウントのつぶやきも自ら書いているんだけど、Vスパの参戦が発表された時に星奈のアカウントで既存参戦作品の中で星奈役の声優が演じてるキャラを複数挙げて(『花咲くいろは』の緒花,『神のみぞ知るセカイ』のエルシィ,『迷い猫オーバーラン』の文乃)、それで声優単デッキを組めば良いよみたいな事をつぶやいていた。
https://twitter.com/SENA_KSWZK/status/69669964583415808

何でこんな話題を書いたかと言うと、パロディーネームで挙げられているアナログゲームが気になったから。
『モノポリー』はそのまま使っているのに、『人生ゲーム』は『半生ゲーム』に置き換えているし、『遊戯王』も『遊技帝カード』に置き換えているのが不思議。
誰かがライセンスを握っている物はパロディーネームにして、ライセンスの無い伝統ゲームはそのまま使っていると思っていたから、『モノポリー』がパロディーネームになっていなくて違和感がある。

あと、『僕は友達が少ない』無いのパロディーネームは法則がある。
『モンスターハンター』が『モンスター狩人』になっているように、パロディー元の単語を半分残すって法則。
『人生ゲーム』→『半生ゲーム』も、『遊戯王』→『遊技帝カード』も、この法則が当てはまっている。
だから、ここで出てくる『ヒストリースピーク』ってパロディーネームも、「ヒストリー」か「スピーク」のどちからの単語を含むアナログゲームが元ネタって事になる。
多分、『ヒストリースピーク』のパロディー元は、『History of the World』シリーズの簡易版である『ヒストリー(オブ ザ ワールド)ブリーフ』では無いかと思う。
http://sekigames.gg-blog.com/Entry/89/
作中では『遊技帝カード』だけでなく『ヒストリースピーク』もトレーディングカードゲームだとも取れる書き方がされていたから、そうだとしたら、『ヒストリースピーク』=『ビクトリースパーク』かも知れないが、前述のパロディーネームの法則からは外れる。

それと、先生扱いのシスターで隣人部の顧問も勤めていたマリアが、実は先生では無かった事がこの巻で明かされた。
この「実は先生では無かった!」は、取るに足らない小ネタだと思う。「男の娘だと思われた幸村が実は女の子だった」よりもインパクトが小さいネタ。
けど、前述のVスパでカード化されたマリアは、技属性に《先生》が付与されている。これを知っていると、実は平坂読さんは『ヒストリースピーク』でカード化された内容に不満を持っているのではないかと邪推してしまう。
実際、星奈は、『花咲くいろは』の緒花とも、『神のみぞ知るセカイ』のエルシィとも、『迷い猫オーバーラン』の文乃とも組み合わせてデッキを組めないデザインになっているしな。
マリアに付与されてる技属性《先生》は、他作品の《先生》キャラとのシナジーを可能にしている。が、ロリキャラであるマリア好きな人が他の作品の《先生》キャラを好きである可能性はかなり低いよね。
もう1つの技属性は《お菓子》だけど、食い意地のはったキャラとしての造形されているマリアは、別にお菓子ばかり食べている訳ではないんだよね。隣人部の面子とお祭りや遊園地へ行った際、出店や売店の軽食類を大量に食べる描写がある他、学園祭に向けて隣人部で映画を撮った際、脚本に対する要望として「(マリアが演じる役は)美味しいごちそうをたくさん食べられること」を挙げている。隣人部内では確かにポテチばかり食べているけど。
他作品とのシナジーを考えない場合、マリアを特徴付ける為に付与すべき技属性は《うんこ》だと思うんだけどね。技属性《肉》を新設して星奈に与えたように、《うんこ》も新設して付与してやれば良かったのに。
どうせなら、作中で夜空あたりに「ヒストリースピークのここが気に入らなかった」的な発言をさせれば面白かったのに。

コメント

りゅー
りゅー
2012年7月20日8:45

マリアちゃん可愛いです。

Nakaji_c
2012年7月21日1:16

書いた感想の内、最初の一段落分をコピペし忘れていたので追記。

>りゅーさん
少し前の巻に、マリアと一緒にお風呂に入る話があったんだけど、俺も一緒にお風呂へ入りたかった。

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