■拡張の影響
「部族」と「予言」の追加で、ゲーム性の幅が広がった。
まず「部族」の追加で、プレーヤーが非対称的になった。おかげでリプレイ欲が増した。『テラミスティカ』で種族が14あったり、『アグリコラ』で職業カード・小さな進歩カードがあったりするのと、同じようなものだ。
また、「予言」により、ゲームごとの展開の違いが強くなった。基本セットの初期資源タイルや建物やモニュメントによるランダム性でも充分にゲーム展開が変わるが、「予言」はこれらよりも大きくゲーム展開を変える。「予言」だけで20点ぐらい稼がないと1位を望めない事を考えると、全く無視できない要素である。

「部族」の追加によりゲーム中に得られる資源が増え、「予言」の追加によりゲーム中に得られる勝利点が増えた。
この2つの要素を入れた場合、1位になるために必要な得点が100点~110点ぐらいまで上がった。(基本のみだと70点前後が1位になる勝敗ラインだった)
また、基本セットのみだと得点源として信仰が重要であったが、拡張を入れると信仰を無視して技術や建物に注力しても勝ちやすくなった。記念碑を3つ建てて、予言で13点獲得を2回行えば、信仰による得点が乏しくても、100点台の勝利点を稼げる。

■種族評価
俺のプレイングに沿っているかと言う意味で強弱を判断してます。俺と違ったプレイングをする人には、また別の評価があるかもしれません。
ちなみに俺のプレイングってのは下記。
・可能な限り早くワーカーを6個にする。
・基本的「3個置く」⇔「3個取る」を交互に行う。
・4個以上のワーカーが手元にある場合は、2ターンかけて置く。この時、手持ちのコーンが少ないなら(フードデイの直後はこの状態に陥り易い)1回目のワーカー配置時にスタートプレーヤーを取る。

○強3種族
(1)ヤルク族(YALUK):ワーカー5個スタート
僅差ながら、最強はこの種族だと思う。
ワーカーが2個多いのは単純に強い。序盤の増員レースに加わる事無く、他の事をできる。
無論、1番手なら、他人を邪魔する意味でウジュマルに3つ置いても良い。増員を1回した後はウジュマルの5で他の歯車の5を実行すれば問題無いし。
正直、4ターン分ぐらい得していると言える。
なので、コーン24個支払って追加ターンを4ターン得ているようなものなのだ。
「フードデイの支払いが+1コーン、支払えない場合のペナルティがワーカー1人につき-5勝利点(通常は-3)」と言うハンディを負っているのは、最初からワーカーが2人多いと強い事を逆に示している。

(2)フラカン族(HURACAN):ティカルとウジュマル、ヤシェチェランとパレンケを同じと見なす
後述する「初手でウジュマルの0,1,2に3ワーカー縦置き」を1番手でなくても実行できるのが強い。ティカルで同じ事が出来る。
また逆に、ゲーム中盤から終盤にかけては得点に結び付く技術や建物や記念碑のためにティカルが混むが、同じ事を空いているウジュマルに置いても選択が出来るという幅広さが強い。

(3)イツァムナー族(itzamna):技術レベルのコスト軽減
世間一般では最強の呼び名が高い。
技術を上げるコストが安いというのは、テンポ面でもアドバンテージが高い。
また、1つでも3レベルに上がっていれば、どの技術の4レベルでも使用可能なのはトリッキーで強い。農業技術の4レベルで信仰を上げても良いし、神学技術のレベル4で水晶スカルを取れるのも美味しい。

○次点5種族
(4)ヴクブ・カキシュ族(VACUB-CAQUIX):1手番に1スペース、飛ばして配置可能
ゲームの中盤以降でコーンの確保に余裕がある場合、各歯車の0や1にワーカーを置くのは効率が悪いので、できればコーンを支払って奥の方にワーカーを起きたくなる。
例えば、パレンケなりヤシェチェランなりティカルなりが0,3,4と空いていたら、3や4に置きたい。その為に仕方なく0にも置くプレイングがしばしば発生するが、0に置いたワーカー自体は、3,4に置かれたワーカーより効用が低い。
1手番に1回とは言え、安いスペースを1つ無視できるのは強い。上記の例だと0に置くのを回避して3と4に置ける。

(5)シャマン・エク族(XAMAN EK):1手番に1回、資源1個をコーンに変換可能
資源からコーンへの一方通行だが、ウジュマルの2を毎手番実行できるような物だ。
ワーカーを置くターンでも取るターンでも実行できるので、資源を取る事に注力していれば毎ターン金や石を交換する事で細かくコーンを獲得できて、コーン獲得の為に割くワーカーを減らせるのは強い。
普通にウジュマルの2を選んだ時に4~5個の資源を変換すると考えると、6アクション分ぐらいタダで実行した計算になる。

(6)アハウ・チャマヘズ族(AHAU CHAMAHEZ):1手番に1回、1コーン支払って1つ上のアクションを実行可能
1つ上のアクションを実行する価値は、2コーン以上はある。貰える資源のコーン換算の差を単純比較できる場所で見ると、パレンケなら3→4や4→5で2コーン差、ヤチェシェランなら技術無しで1→2や2→3が2コーン差、技術があると3コーン差になる。
それをワーカーを取るターンに毎回1回実行できるのだから、都合15コーン分ぐらいの価値はある。
特にフードデイ直前にティカルやウジュマルの5が実行できるかとか、終盤にティカルの4やウジュマルの5を実行できるかどうかはゲームを大きく左右するので、これを1コーンで実行可能にするアドバンテージはかなり高い。

(7)バカブ族(BACAB):手番開始時にコーンが2個になる、コーン乞いで4コーンになる
手番開始時にコーンが増える事で、序盤の展開が楽になる。
中盤以降もワーカーを置く手番でコーンを使い切れば、次の手番開始時に2コーン手に入る。
多分、20コーンぐらいは稼いでくれる。

(8)イシュタム族(IXTAB):初期資源タイルが3枚でスタート
拡大再生産なので、序盤に貰える資源が増えるのは単純に強いです。
ワーカー+1のタイルや同じ技術が2枚重なった時などの、強いけどコーン不足に陥る配牌の時もコーンを多く確保してゲームを始められる。

○見劣りのする3種族
(9)ヤムカァシュ族(YUMKAAX):労働者配置のコストが軽減される
1人配置は元から0コーン、4人配置までなら1コーン軽減、5人配置で2コーン軽減。
ゲーム終了までに10コーン程度しか得をしない。

(10)バラム族(BALAM):番号の小さいアクションを実行する際コーンを払う必要が無く、逆に1コーン貰える
番号の小さいアクションを実行する度に差し引き2コーン以上得をするが、基本的にそれはアドバンテージを失うプレイングなので、弱い。

(11)キト・ボロン・トゥム族(CIT-BOLON-TUM):1手番に1回、歯車の番号に関係なく先の歯車に置く追加コストが3コーンで済む
ワーカーを置くターンに毎回実行できたとしても、2コーン程度の軽減にしかならない。ヤムカァシュ族よりは実効できた時のアドバンテージは大きいかも知れないが、狙ってできる事ではないので難しい。

○多分弱い2種族
俺のプレイングに沿わないって意味で弱い評価。

(12)アフマキク族(AHMAKIQ):手番をパス可能で、パスすると2コーン貰える
パスをする必要があるような局面なら、普通、スタートプレーヤーを取ったり、パレンケやヤチェシェランの1を実行したりする。(スタートプレーヤーを取れば、次の手番ではパレンケやヤチェシェランの0に置ける)
パスなら何個かコーンを得られるし、パレンケやヤチェシェランの1なら2ターンで2~3コーン分の資源を得られる。
それと比べると2コーン貰えるだけでは得したとは言い難い。

この種族を取って、パスによる効用が大きいチチェン・イツァで水晶ドクロを奉納するプレイングを試してみたが、普通にウジュマルにワーカー3つ縦置きしてワーカーを増やして技術も伸ばすプレイングをしていた人に勝てなかった。

(13)ア・チュイ・カク族(AH CHUY KAK):ワーカーを2個以上置いたら、そのターンに置かれた者でないワーカーを1つ回収してアクションを実行する。
これ意味解らないのだけど。
ワーカーを2個置いたターンに1個だけワーカーを回収するより、次のターンまで待って他のワーカーと一緒に回収してアクションを実行する方が、歯車が1つ進んでいる分、強いだろ。

アドバンテージを取れるタイミングが有るとしたら、2ターン連続でワーカーを置くような状況。例えば、ワーカーを手元に4個持っていて、3つしかワーカーを置かない時とか。
でもそれが何回も発生している状況って弱いよね。2回連続でワーカーを置くターンが発生したと言う事は、2回目のターンに置かれるワーカーって1回目のターンでは遊んでいる事になるから。

ちなみに、序盤にウジュマルへ3つ縦置きできた場合に胡散臭い動きをすると言う話を聞いていて、これをまだ試していない。これを試してみたら評価が変わるかも。


■問題点の指摘と、ヴァリアントルールの提案
プレイしていてバランス上問題があると思ったのが2点ある。
(1)「1ターン目にウジュマルの0,1,2に3ワーカー縦置き」が強過ぎる。
(2)ゲーム開始時の手番が遅い程、選択の余地が少なくて不利になる。

まず(1)だが、このプレイングは先着1人しかできない。これをすると6コーン必要だが、2ターン目にはコーンを支払わず《ワーカー+1》を1回実行可能で、4ターン目にコーンを1支払うだけで《ワーカー+1》を2回実行できて、実質7コーンで4ターン目にワーカーを6個まで増やせる。
多分、同じ力量の人同士で対戦したら、ゲーム開始時に1番手でウジュマルに3つ縦置きした方が勝つだろう。
で、これの解決のために下記のヴァリアントを提案する。

【ヴァリアント・その1】
「第1四半期の間は、同一プレーヤーがウジュマルに2個以上ワーカーを置けない」と言う制限の追加。


次に(2)だが、1ターン目に先の手番が人がウジュマル・パレンケ・ティカル・ヤシェチェランを埋めてしまい、後の手番の人はコーンを大量に使わないとワーカーを置けなくなる。その為、手番が遅い人は初期資源でコーンを多めに取らないと(目安としては10個以上)1ターン目から詰んでしまう。詰みを回避するために初期資源の中に技術や信仰を上げたり、資源を多く貰えるタイルがあっても諦めないとならなくなり、手番が早いプレーヤーと比べて選択の幅が狭くて不利である。
で、これを解消というか、不公平感軽減のために下記のヴァリアントを提案する。

【ヴァリアント・その2】
「種族を選択する際に全員へ2枚配るのではなく、(参加人数+1)枚を抜き出して、最後手番の人から逆順に1枚ずつ選択する」

どっちも思いついただけで試していないので、問題点を共有できる人と試してみたいと思っている。

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