日本語版の流通が始まった『コンコルディア』の戦術論は需要がありそうなので書いてみる。

■基本的なサイクル
『コンコルディア』は拡大再生産のゲーム。
以下のサイクルを繰り返して、拡大再生産を行っていく。
(A)リソースの獲得:使用するカードは《長官》各種ミネルヴァのカード
(B)リソースの変換:使用するカードは《商人》
(C)リソースの使用:使用するカードは《建築士》《元老院議員》《執政官》

要は《長官》や各種ミネルヴァのカードのカードを使って資源を得て、それを《商人》を使ってお金や他の資源に変えて、《建築士》で家を建ててもらえる資源を増やしたり、カードを手に入れたりする。このサイクルを繰り返すと言う事だ。
このサイクルの中で、一番肝心なのは、(C)で家を建てることだろう。家は、《長官》や各種ミネルヴァのカードのカードを使った際に得られる資源の量に影響する。
家の建て方が、このゲームのキモだと言っても過言ではない。

■序盤の動き考察
拡大再生産のゲームだから、序盤の動きは非常に重要。
最初に《護民官》を使うまでに家を建てる機会は2回ある。1回は《建築士》で、もう1回は《外交官》で他人が使った《建築士》をコピーして。
この最初2回の《建築士》の使い方がゲームの中盤まで響く。

ゲーム開始時に、幾らかの資源と、一通りの行動ができるだけのカードを持っている。一方で、家はボード上に1軒も存在しない。
なので、大抵の人は前述のサイクルを(C)を始めるだろう。
その場合、立てれるのは、以下の組み合わせである。
・布 or ワイン or 道具 or 小麦 の都市に1軒のみ
・布 or ワイン or 道具 or 小麦 の都市に1軒 + レンガの都市に1軒
この場合、《商人》での売値が高い布 or ワインの都市に1軒は家を建てるのが有利だと言えよう。
なお、1番手の場合、持っているお金の都合から、布+レンガと言う組み合わせは不可能になる。

一方で、前述のサイクルを(A)または(B)から始めるのも、1つの戦法である。
(B)から始める場合、布かワインを売って、レンガを買う。
これにより、最初の《建築士》で立てられる家が、布 or ワイン or 道具 or 小麦 の都市に2軒となる。
この戦法の問題は、2回目の《建築士》を行う為に充分な資源が無かった場合に(B)で調整する事ができず、《外交官》で《商人》をコピーする必要が出てきて、初回の《護民官》を使うまでに家を1回しか立てられない可能性がある事だろう。

(A)から始める場合は、布かワインを産出する州を選んで実行する事になる。これにより、次の手番で《商人》を選び、布かワインを2つ売って、レンガを3つ買う。つまり、前述の(B)から始めるサイクルの弱点である「2回目の建築を行うための資源が足りなくなる」を克服する為に、1回の《商人》で2回分の建築のための資源を確保しているのだ。
この場合、最初の2回の《建築士》で布 or ワイン or 道具 or 小麦 の都市4つに家を建てられる事になる。
特に最終番手の場合は《大長官》カードを持っているので、布かワインを2つ売っても1つ手元に残して《建築士》で利用できるようになる。もしくは3つとも売って資金的な余裕を持ってゲームを進める事もできる。

他のパターンとしては、(C)から始めるサイクルの変種で、《元老院議員》をプレイして有効なカードを先に確保する手が挙げられる。確保するのは《石工》《農民》と言ったミネルヴァのカードである。

また、変則手として初手に《護民官》で植民者を1つ増やす戦法もある。
移動力2ではどんなに頑張っても初回の《建築士》で立てられる家は2軒だが、移動力3になれば初回の《建築士》で3軒の家を建てられるようになる。
もしくは、初回の《建築士》で3歩移動した先にある都市に到達できる事もメリットになる。2歩で行ける都市に布が無くて、3歩先に布の都市がある場合は、検討に値する。

■得点方法と絡めた戦法の考察
このゲームでは、勝利点の獲得方法が複数あり、どれか1つか2つに特化した方が効率良く得点を稼げる。
有効だと思える戦法を幾つか挙げる。

○亜美×まこ戦法
メルクリウスによる得点と、ユピテルによる得点を同時に狙う戦法。
メルクリウスは5種類の資源を産出する都市に家を建てれば10点になる。これを達成した時点でユピテルによる得点も最低でも4点は入る。
なので、カード購入はメルクリウスとユピテルを優先して選び、メルクリウスを10点まで伸ばした後はユピテルを伸ばすと言う指針で動く。

○ほたまこ戦法
サトゥルヌスによる得点とユピテルによる得点を同時に狙う戦法。
各州のレンガ以外の都市に家を置けば、サトゥルヌスとユピテルの両方が1点ずつ増えるこの戦法のメリットは、サトゥルヌスもユピテルも枚数が豊富で、有効なカードに多く使われていると言う事だろう。
後述のミネルヴァ特化の内《農民》とも組み合わせる事が可能。

○ミネルヴァ特化
ミネルヴァのカードをどれか1~2種入手して、その資源の都市に集中して家を建てる。
購入するカードは1枚、建てる家の数も多くて6個と、使う手番が少ないので、他の戦法と組み合わせる事も可能。
ミネルヴァのカードは、他人に資源を与える事無く自分だけ資源を得られるので、それだけでも有利。対応する資源の都市に、道具以下なら3つ、ワイン・布なら2つ以上家を置いていたら、他人に利用させない意味も込めて取ってよいカードである。

○レイ戦法
マルスによる得点を狙う戦法。
入植者を6人全部出せば1枚12点と言う高効率が実現する。
これも、使う手番が少ないので、他の戦法と組み合わせる事が出来る。特に、小麦や道具のミネルヴァ特化と相性が良い。
この戦法の弱点は、購入できるマルスのカードが極端に少ない事。
数少ない購入機会を逃さないように、《執政官》を持っていると行い易い。

○お兄ちゃん飛んじゃう戦法
メルクリウスによる得点を狙う戦法。
メルクリウスの1枚10点は結構楽に実現できて、マルスに匹敵する高効率だが、一般的にマルス狙いより警戒されにくいところに着目した戦法である。
こちらも、目的のカードが取れるように《執政官》を持っていると狙いやすい。

■家の建て方考察
2つの観点がある。
1つ目は、自分が《長官》をプレイした時の効率を高める事。同じ州に2つ3つまとめて家を建てる。
2つ目は、他人が《長官》をプレイした時に便乗する事だ。他人が高価な資源を出す都市に家を建てていて《長官》を使いそうなら、その州の安い資源の都市に家を建てる。

■その他
得点を伸ばすのは(1)カードを集める(2)家を建てるの2つがあるが、これをバランス良く行うのが重要。
カードばかり優先して集めても家の数が少ないなら、1枚当たりの得点が低くて点が伸びない。
逆に、家ばかり建ててカードの枚数が少ないと、1枚当たりの得点効率が高くてもカードの絶対数が少ないからやはり点が伸びない。

《護民官》は、手札を回復させるユニークな効果を持っているが、リソースがそれほど増える訳ではないので、手番回数に対する効率が悪いと言える。個人的に、あまり積極的にプレイしないカードである。手札の最後の1枚になってプレイする事が多く、1回のゲーム中に3回しかプレイしないのが普通だと思っている。

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